良性発作性頭位めまい症

「めまいの体操をしたらよけいに気持ち悪くなっちゃったんです。」と患者様。


「めまい直後はあまり勢いよく頭部を動かすとつらいかもしれませんね。めまいの体操は普段の予防として考えるといいですよ。」と私。


先日、めまいの患者様とそんな話をしました。


今回のテーマは回転性めまいについて。


回転性めまいで病院へ行くと、聴力や眼振などの検査をしてメニエル病(内リンパ水腫)との鑑別をします。今回はメニエル病についてではなく「良性発作性頭位めまい症」についてです。


よろしければお付き合いください。


めまいは一度なってしまうとその場でうずくまるほどの不快感やひどい時は嘔吐に見舞われます。頻繁に起こってしまう人は外出する度に不安や恐怖にかられます。


原因は加齢やストレス、、そう言ってしまえばそれまでですが、どんな病気でもメカニズム、プロセスさえわかれば少なからず対策ができます。


一体なぜこんなことが起きるのでしょうか。


耳の中の耳石が関係しているというのはどこかで聞いたことがあると思います。


そもそも耳石とはどんなものなのでしょうか。


耳石は通常、耳石器というところに存在し、これがリンパ液の中をユラユラ揺れることでバランス感覚を検知しています。健康な耳石は、いい感じに固形で存在し、いい感じに耳石器の中のリンパ液の中で溶けて常に代謝しています。


耳石の正体。


それは炭酸カルシウムの粒です。

カルシウムというと皆さんはどんなものを想像するでしょうか。

まず思い浮かぶのは骨の主成分です。

建築などで使われる石灰、これもカルシウムです。

石灰がカルシウムなら、五十肩のひとつ、石灰沈着性腱板炎もカルシウムが石灰化することで起こります。

よく聞く胆石症や尿管結石などの石はどうでしょうか。

これも実はカルシウムです。


めまい、五十肩、胆石、結石。どれも関係性がないように見えて、共通しているキーワードはカルシウム。


カルシウムは人間にとって必需品です。普段はいい感じでこれが身体の中に存在しているのですが、運動不足、循環不良、代謝不良などがあれば固形化して不具合が生じることでこれらは一致しています。


話を戻します。


めまいは具体的にどうやって起きるのでしょうか。


私達の身体は、生活の中で常に適度に身体が動くことを想定してできています。

例えば、家にいても掃除したり洗濯をしたりなどをして、適度に頭の位置があっちを向いたりこっちを向いたりする。


そんなふうに適度に動けば、耳石はいい感じでリンパ液の中で溶けています。


しかし、私達には生きていくために必死に頑張ったり無理をしたりする時が必ず訪れます。


勉強やパソコン仕事などを長時間、何日も何年も根詰めてやっていれば誰でも運動不足になります。


するとどうなるでしょうか。リンパ液は循環しにくくなります。耳石のカルシウムの代謝が滞り固形化が進みます。すると耳石器から耳石が重みで剥がれ、その隣にある三半規管の中のリンパ液の中を浮遊します。すると三半規管の中を耳石が巡ります。


そうなると大変。

あっという間に天井がぐるぐると回転します。


目が回ります。

これが良性発作性頭位めまい症のプロセスです。


一回そうなってしまえば、その剥がれた耳石が溶けて無くなるまで少なくとも1〜2週間ほどはかかります。


当院では、それが落ち着くまでは無理に頭の体操などをせず、パソコン仕事などもなるべくせず、そっと静かに生活することをおすすめしています。


そこで、すぐ治さなくちゃとあわてて過度に頭を動かせば、冒頭の患者様のように気持ち悪さを助長させてしまうからです。


いかがでしょうか。


めまいが何度も起きてしまうという人は、生活の中で身体が適度に動くように心掛けることが大切です。


かくいう私も40代前半の時、国家試験の直後にこれになりました。

私もきっと意気込んでいたのでしょう。

時々、息抜きが必要ということですね。


そして、めまいは鍼灸や指圧がとっても有効です。


めまい持ちの人は首や肩、背中がひどく凝っていて、側頭部、特に耳の周りにむくみがあることが多いです。当院では指圧でこれを虚実、補瀉で周辺を巡らせてあげるようにします。


足が冷えていたらお灸やホットパックなどで足を温めてあげ、上虚下実を心掛けます。


さらに、東洋医学では、めまいは余分な水分が滞ることで起きると考えることから、胃腸をよく労わってあげることも念頭に置くべきでしょう。普段から全身の氣を巡らせておくことがいかに大切かを痛感させられます。

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