緑内障の人への指圧
質問を受けました。
“緑内障の患者様が通院されています。指圧でなんとかしてあげたいと思いますが、どのように行えばよろしいでしょうか。”
おっしゃられる通り、指圧師の私の立場からこれにお答えしていきたいと思います。
主たる治療はもちろん専門家である眼科のお医者様にかかって頂ければと思います。
ところで、緑内障とはどのような病気なのでしょうか。
調べるとわかりますが、緑内障とは目の中の“眼房水”(角膜や水晶体などに栄養を与えたり、汚れをとったりする水分)の流れが悪くなるため、眼圧が上がることで視神経を障害して起こる病です。
症状は視野がだんだん欠けていくこと。
考えるだけで後ずさりしてしまいそうな症状ですが、日本では60歳以上では10人に1人は緑内障患者といわれ、明日は我が身ともいえる身近な病です。
では、なぜ眼房水の流れが悪くなるのでしょうか。
眼房水は毛様体から産生され、水晶体を潤したあと静脈へと戻っていき、その循環を絶えず維持しています。(詳しくはよかったら“眼房水”“シュレム菅”などで検索してみてくださいね。)その静脈が詰まっていたり何か障害があればそこに眼房水がたまり目がだんだん膨らんでいきます。
つまり眼圧が高まります。
ここまで聞いて、勘のいいあなたはもうおわかりになるかもしれません。なるほど、循環不良か、と。
そうです。拡大解釈してしまえば、血流が悪くなっているのです。
東洋医学的には動くべきものが動かない“氣の滞り”と言ってもいいかもしれません。
したがって、指圧をするとすれば、まずはその神経支配下にある筋肉、首や肩の凝りをとって流れを良くしてあげることです。
ただし、その首や肩を緩ませるためにはお腹をあたためたり、腰や膝がゆるんでいることが条件です。つまり、一部分にとらわれず全身を丁寧に丁寧に指圧することをやはり念頭に置くべきです。
例えば、患者様が肘や指が痛いと訴えるならそこを。腰が痛いと訴えるならそこを丁寧に触ってあげることです。
患者様のこれまでの“頑張り”や“無理”の蓄積の結果、弱いところに症状が起きています。
免疫学の権威、安保徹先生がおっしゃいました。
「白血球の中で、
交感神経性に動くのは顆粒球。
副交感神経性に動くのはリンパ球。
どちらもバランスが大切。
日々忙しくして交感神経を優位にしてばかりいれば、顆粒球が過剰に働き、通常は身体を守るべき機能が反対に細胞を攻撃してしまう。
内耳を攻撃すれば突発性難聴。
三半規管を攻撃すればめまい、吐き気を伴うメニエル病。
肝臓を攻撃すれば劇症肝炎になる。」
いかがでしょうか。
安保先生のこの言葉を聞けば緑内障もこれと無関係ではないと察しがつくのではないでしょうか。
さらに患者様は、『緑内障は治らない』『難病』という現代医学の表面的な文字面にも心理的ショックを受けているはずです。
心が不安でいっぱい。それがさらに筋緊張を高めます。
それを指圧で緩めてあげるのです。
治らないといわれる関節リウマチや潰瘍性大腸炎、癌ですらも上手に付き合えば寛解という形で必ず楽になっていきます。指圧をしながら、そう元気付けてあげてください。
どうか現代医学の表面的なマジックにかからず、なぜ病気がおこるのか、なぜ神様は病気をつくったのか、その仕組みを治療家が自分なりに理解しておくことです。
目という一部分を治そうとするよりも、全体を見て全身をゆるめてあげること。
それが一番の近道。
医療の本来の目的は、病気を治すことではなく、患者様に自分で治る身体になって頂くこと。
私はそう考えています。
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