氣の話

“先生、近々、自分の治療院を持たれるんでしょ。”その患者様が私に言いました。

驚きました。なぜならその時、私自身の話を一切していなかったからです。


これは私が学生時代、通っていた鍼灸指圧学校でのお話。


私達の学校の学生は卒業間近になると付属治療所で一般治療に参加します。その治療所でのこと。

その患者様は初めて担当させて頂く方でした。

問診を終え、いざスタートというところの、まだ背腰部を手始めにサササッと触れただけだったの時に患者様がそうおっしゃったのです。

患者様は続けました。


“私にはわかります。あなたがただ指圧をしているだけではないことが。他の先生達とは“手”が全然違いますから。”


さらに驚いたことに、私はその患者様の言葉通り“指圧”を専門に治療院開業をしようと決め、ちょうどその準備にとりかかったばかりの頃だったのです。


ドキッとしました。“私の手から何か出ているのかな”と。


私達は「本気でやる」「やる気を出す」「気持ちを集中させる」などと言います。

どんなことでも本気になるとその覚悟が相手に「氣」となって届く。

その“気配”や“気迫”を潜在的に感じるのだなと、そう実感させられる出来事でした。

考えてみるとシンプルな話です。


氣の種類もいくつかあります。


例えば、子どもは“陽気”です。特にうちの娘はいつもふざけて遊んでいます。

困ったことに夜寝る直前まで陽気でなかなか寝てくれないことがあります。

そんな時は“陰”の雰囲気を集中してちゃんと作ってあげないといけません。


つまり“陰の気”を補ってあげるのです。


よくあるのが、“やっと寝てくれるかな”という時に、パパ(“陽”の性質を持つ者)がちょうど帰宅して、陰の気が散ってしまい、また目を覚ましてしまうこと。

子どものいる家庭のよくある光景ではないでしょうか。


話を戻します。


あれをしようかな、これをしようかなと気が散って指圧をしている時は、気が散っているそのままが相手へと伝わってしまうもの。

それが何か一つ、覚悟を決めた時、“本気”になります。


治療の世界も、小児専門、女性専門、美容、スポーツ障害、訪問マッサージ、と多岐に渡ります。

色々と興味を持って学ぶのが学生ですから迷って当然。それでいいのです。


しかし、私の場合は、ある時から治療のメインを“指圧”と決めた。それが私の覚悟のタイミングだったのだと考えています。


氣の話。

いかがでしたでしょうか。氣を身近に感じて頂けたでしょうか。


“氣”は学ぶものでなく感じるものです。

その“気付き”を私に与えて下さったのが冒頭の患者様です。


これが感覚的にわかってくると東洋医学がどんどん楽しくなり、どんどん理解できるようになります。

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